申告内容の修正・更正の請求

概要

相続税の申告書を提出した後に、課税価格や税額などの申告内容に誤りがあった場合には、その誤りを訂正する必要があります。

納税者側の手続きには、申告した相続税額が少なかった場合は「修正申告」、反対に申告した相続税額が多かった場合には「更正の請求」があります。なお、申告期限内の修正は、「訂正申告」といいます。

税務署側の手続きに、「更正」と「決定」があります。

【納税者側の申告内容の修正・更正】

時期 手続き
申告期限前 訂正申告
申告期限後 少なく申告 修正申告
→加算税や延滞税が加算される
多く申告 更正の請求
→→申告期限から一定の期間に限り、税額の減額を求めることができます

【税務署側の手続き】

  内容
更正 期限内の申告がある場合で、税務調査によって申告内容に間違いがあれば、納税者の申告を是正する処分
決定 贈与税や相続税の申告義務があるにも関わらず期限内に申告書が提出されていない場合には、税務署が独自に調査を行い、納付すべき税額を確定する処分

過少申告に気がついた(修正申告)

修正申告とは

相続税額を少なく申告していた場合、又は還付される税金が多かった場合に、「修正申告」をします。

この修正申告には期限がないため、税務署から指摘を受けるまで(更正の通知が来る前)はいつでも、何度でもできます。

延滞税と過少申告加算税が発生する

ただし、追加で納める税金に関して延滞税が課せられます。

延滞税の税率は年7.3%ですが、納付期限の翌日から2カ月を過ぎると14.3%まで上がるので注意しましょう。

税務署からの指摘(増額更正といいます)されてからの申告には、さらに、過少申告加算税が課せられます。これは追加で納める税金の10%~15%に当たる額となります。

修正申告で新たに追加納付する税額は、申告したその日のうちに納付しなければなりません。

  延滞税 過少申告加算税
税務調査で指摘された場合 あり あり
自主的に修正申告した場合 あり なし

原則として加算税や延滞税がかかります。税務調査が行われる前に納税者が自分から修正申告書を提出すれば、ペナルティとして本税に加えて賦課される過少申告加算税が免除される場合があります。反対に、たとえ故意でなくとも税務調査で申告漏れなどが見つかった場合には、延滞税や過少申告加算税が課せられます。

  加算税 延滞税
自主的な修正申告 更正処分を予知していない 過少申告加算税
免除
最大1年

原則:
最初2ヶ月:7.3%
それ以降:14.6%

上記原則と「特例基準割合+1%」の低い方

更正処分を予知している 過少申告加算税
増加税額の10%

増加税額と50万円の多い方を超える部分の5%
最大1年
更正処分のうち隠蔽・仮装の場合 過少申告加算税
増加税額の35%

増加税額と50万円の多い方を超える部分の5%
制限なし

申告期限までに申告しなかった場合→無申告加算税
納付期限までに納付しなかった場合→不納付加算税

過大な納付に気がついた(更正の請求)

更正の請求とは

相続税額を多く納めすぎた又は還付される税金が少なかった場合に、行う手続きを、更正の請求といいます。

申告期限から5年以内の制限がある

更正の請求ができるのは、原則として法定申告期限から5年以内です。これを過ぎると、後発的事象等に該当する特別な理由がない限り更正の請求はできません。

なお、更正の請求ができる者は、納税申告書を提出した者及びその相続人その他提出した者の財産に属する権利義務を包括して承継した者となっています。

修正申告の場合は、修正申告の提出により、前回申告した税額等が自動的に変更されますが、更正請求の場合には、その税額等がその請求により自動的に変更されるのではなく、課税庁の更正処分を待って初めて変更される違いがあります。

後発的事由による更正の請求

相続税における更正の請求は、「国税通則法第23条に規定する一般的な事由による更正の請求」と「相続税法第32条に規定する特別な事由による更正の請求」の2つのケースに分けることができます。

国税通則法第23条の後発事由に該当する場合は、それらの事由が生じた日の翌日から2ヶ月以内に更正の請求をすることができます。

相続税法第32条の相続税特有の後発事由に該当する場合には、その事由が生じた日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求をすることができます。

国税通則法第23条と相続税法第32条の規定が重複する場合には、特別法である相続税法の規定が優先します。

【国税通則法と相続税法の更正の請求ができる事由と期間】

更正の請求ができる事由 期間
国営通則法第23条 一般的事由 法定申告期限から5年以内
後発事由 その確定した日の翌日から2ヶ月以内
相続税法第32条 後発事由 その事由が生じたことを知った日の翌日から4ヶ月以内

国税通則法が定める後発事由による更正の請求(通法23②)

国税通則法が規定する一般的な更正の請求ができる期間は5年となっていますが、後発事由により課税価格等が過大となった場合には、その事由が生じた日の翌日から2ヶ月以内であれば更正の請求が認められています。

  • 申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効果を持つ和解等を含む)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定した場合
    →例えば、相続財産であると申告した財産な、申告後に確定した判決により第三者の財産であることが確定した場合です。この判決には、判決と同一の効果がある民事調停法上の調停・訴訟法上の和解・家庭裁判所の行う審判・調停が含まれますが、訴訟法上の和解には、いわゆる馴れ合い和解は含まれないとされています。
  • 申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たってその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があった場合
    →例えば、相続財産である土地の帰属について被相続人に帰属するとして相続税の課税価格に算入して計算していたものの、他の者に帰属するとして更正処分がなされたような場合です。
  • 法定申告期限後に生じた上記事由に類するやむを得ない理由があるとき。

相続税法が定める後発事由よる更正の請求

相続税や贈与税の特有の事由によって納付すべき税額が過大となった場合における更正の請求の特則が設けられています。

この場合には、いずれも事由が生じたことを知った日の翌日から4ヶ月以内に限り更正の請求を行うことができます。

  • 遺産分割が確定し相続人等の課税価格に変動が生じた場合
  • 認知の訴えによる裁判の確定や胎児の出生等により相続人に異動があった場合
  • 遺留分による減殺請求に基づき返還すべき又は弁償すべき額が確定した場合
  • 遺言の発見、遺贈の放棄があった場合
  • 財産の権利の帰属に関する訴えについての判決があったなど、上記事由に準じた事由が生じた場合
  • 条件付きの遺贈について、条件が成立した場合

期限後申告

期限内申告書の提出期限後において、一定の事由が生じたことにより新たに申告書の提出要件に該当することになった者は、期限後申告書を提出することができます。また、期限後申告書を提出することができる一定の事由が生じた場合等において、既に確定した相続税額に不足が生じる場合には、修正申告書を提出することができます。

あるいは、期限後申告書を提出することができる一定の事由が生じた場合等において、申告をした者あるいは決定を受けた者の課税価格および相続税額が課題となった場合には、更正の請求をすることができます。

期限後申告と修正申告の特則

相続税は、申告期限後に新たに生じた事情により、税額計算の基になる前提が変化することが多いため、次の事由による期限後申告と修正申告の特則を設けています。

  • 申告期限後に遺産分割が確定し、相続人等の課税価格に変動が生じた場合
  • 認知の訴えによる裁判の確定や胎児の出生等により相続人に異動があった場合
  • 遺留分による減殺請求に基づき返還すべき又は弁償すべき額が確定した場合
  • 遺言の発見、遺贈の放棄があった場合
  • 財産の権利の帰属に関する訴えについての判決があったなど、上記事由に準じた事由が生じた場合
  • 申告期限後3年以内に遺産分割が行われ、配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地等の特例が適用された場合
  • 受贈財産を贈与税から相続税の課税価格に移動させた場合

このような場合、その事由が発生したことを知った日から4ヶ月以内に、更正の請求をする必要があります。

無申告加算税

申告期限内に申告を提出していない場合でも、税務署からの税額の通知が来る前であれば、期限後申告ができます。納付すべき相続税があるのにもかかわらず相続税の申告をしていない場合、延滞税に加え無申告加算税が課せられます。過少申告加算税の額は、申告期限後に自主的に申告した場合と、税務調査により申告書を提出した場合で異なります。

重加算税

相続税として申告すべき財産を隠していた場合には、延滞税に加えて重加算税が課されます。自ら申告書を提出した場合と税務調査で発覚した場合とで、納税額は異なります。

税務調査による更正と決定

相続税は、納税者が自己の課税価格や税額を計算し、申告することで確定する申告納税方式によっています。しかし、納税者の申告内容が常に正しいとは限らないため税務署にはそれを確認するための税務調査の権限が与えられています。

更正と決定は、税務署が納税申告について行う処分です。処分内容に不服がある場合、納税者は異議申し立てができます。

【更正と決定】

  内容
更正 期限内の申告がある場合で、税務調査によって申告内容に間違いがあれば、納税者の申告を是正する処分
決定 贈与税や相続税の申告義務があるにも関わらず期限内に申告書が提出されていない場合には、税務署が独自に調査を行い、納付すべき税額を確定する処分

更正の処分

更正の処分とは、税務調査によって、申告内容に間違いがあれば、納税者の申告を是正する処分をいいます。更正の処分によって、納付すべき税額が増額した場合には、その増加額に対して10%(増加税額が申告税額と50万円のうちいずれか多い金額を越える時その部分については15%)の過少申告加算税が課税されます。財産を不正な方法で隠すなど、悪質な申告と認められる場合には、過少申告加算税に代えて35%の重加算税が課せられます。

決定の処分

決定の処分とは、申告の義務があるにも関わらず、納税者が申告をしなかった場合は、税務署が調査を行い、納付すべき税額を確定する処分をいいます。決定処分が行われると、納付すべき相続税の他に、その税額の10%または20%に相当する額の無申告加算税(財産を隠蔽や事実を仮装しているときは、40%の割合による重加算税)が課税されます。

期間制限

国税の賦課権(税務署長が更正・決定及び賦課決定を行うことができる権利)及び徴収権(国が既に確定した国税債権の履行を求め収納する権利)について、いずれも5年とされています。

賦課権の除斥期間

一般的な税務署長による決定等の賦課権は、基本的に申告期限から5年を経過すると行使できません。この期間は除斥期間とされています。

相続税は5年ですが、贈与税は5年ではなく6年となっています。他の税目と違い、身内間の資産移転が多く表面化しにくいなどのことから他の税目より長くなっています。

なお、偽りその他不正の行為がある場合には、1年間延長され7年が除斥期間となります。

更正や決定の処分が行われた場合には、更正通知書や決定通知書が発せられた日の翌日から1ヶ月後が納付期限となります。

【更正と決定の期限】

  贈与税 相続税
通常の場合 6年 5年
脱税などの場合 7年

贈与税の申告をしていない場合で、更正・決定の除斥(じょせき)期間が経過した場合には贈与税が課税されることはありませんが、名義人は自ら贈与税の申告義務を履行しなかった不適法な行為を行なっているにも関わらず、贈与税課税の除斥期間の経過を主張し、課税上の利益を得ようとするものとして「グリーンハンズの原則」(自ら不法に関与したものには裁判所の救済を与えないという原則です)によりその時点での贈与認定が得られない場合があります。

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