相続税がかかる財産
目次
相続税が課税される財産とは
相続税が課税される財産は、原則として、相続又は遺贈等によって取得した財産です。本来の相続財産といいます。
さらに、相続又は遺贈等によって取得した財産ではありませんが、実質的に相続又は遺贈等によって取得したことと同じ経済的な効果があると認められるものを、相続又は遺贈等によって取得したものとみなして相続税が課税されます。みなし相続財産といいます。
【相続税の対象となる財産】
本来の相続財産
亡くなった時に所有していた財産
本来の相続財産とは、被相続人が亡くなった時点で所有している財産のことで、被相続人が死亡した日に所有していた金銭に換えることができる経済的価値のあるものが対象となります。例えば、現預金、郵便貯金、株・公社債、土地・建物、家財道具、ゴルフ会員権、特許権や著作権などの無形の財産権などがあります。
実質的な所有者で判断する
被相続人の相続財産となるかどうかは、被相続人の名義かどうかにかかわらず、実質的な所有者が誰なのかで判断します。例えば、被相続人の妻子の名義の預金があったとしても、それが被相続人の財産から拠出した資金であった場合には、被相続人の相続財産として相続税の課税対象となる場合があります。詳しくは、「名義財産」を参照ください。
本人にしか帰属しない権利は相続の対象外
被相続人が有していた権利のうち相続の対象とならないものに、①一身専属権、②契約上の地位、③不動産賃借権及び④祭祀財産があります。
項目 | 内容 |
---|---|
一身専属権 |
ただし、相続開始時に具体的な金銭債権となっていた場合を除く |
契約上の地位 |
|
不動産の賃借権 |
なお、不動産賃借権は相続財産に含まれます。 |
祭祀財産 | 祭祀財産は、祭祀の主宰者が承継し、相続の対象とはなりません。 |
一身専属権とは、その権利が本人にしか帰属しないとされる権利のこと。
相続税の対象とならない財産
相続や遺贈によって取得した財産のうち、皇室経済法の規定によって皇位と共に継承されるもの、墓地・霊廟・仏壇・祭具など、公共事業用財産、国や地方公共団体や公益法人に寄附した財産、相続人等が受け取った生命保険金や死亡退職金のうち一定額(500万円×法定相続人の数)などが非課税財産です。非課税の項目は、いわゆる限定列挙で規定されています。
【非課税財産とその内容】
非課税財産 | 内容・留意点 |
---|---|
墓所等 | 墓地、霊廟、仏壇、位牌、神棚、系譜など |
公益事業用財産 | 公益事業の用に供することが確実なもの |
相続人が取得した保険金 | 500万円×法定相続人 |
相続人が取得した退職手当金等 | 500万円×法定相続人 |
弔慰金 | 業務上の死亡 → 給与の3年分 業務外の死亡 → 給与の半年分 |
その他 | 相続税の申告期限までに ・国等へ贈与した財産 ・特定公益信託へ支出した金銭 |
祭祀に関する財産
祭祀財産の承継は遺産相続とは別のものとして取り扱います。
祭祀財産
祖先を祀るための仏壇や墓、家系図などが祭祀財産です。祭祀財産を承継するひとが、祭祀承継者です。
祭祀財産 | 内容 |
---|---|
系譜 | 家系図 |
位牌 | 位牌、仏壇など祭祀・拝礼に使用されるもの |
墳墓 | 墓石、墓碑など遺体や遺骨を葬っている設備 |
相続と祭祀承継は別のもの
祭祀承継は遺産相続とは別のものとして取り扱います。このため、祭祀財産は、被相続人の相続財産に含まれませんし、遺産分割の対象にもなりません。また、祭祀財産の購入費用も相続財産から控除されません。
祭祀財産は、原則、相続財産に含まれませんが、次の点について注意しましょう。
- 生前にお墓等を購入していないと非課税財産にならない
- 借入等によりお墓を建ててもその借入金等は債務控除の対象とならない
- 美術品と認定されるような黄金仏壇や貸金庫に保管されている高価な仏像などは非課税財産に該当しない
- 祭具等について骨董品や投資の対象として所有するものは含まない
祭祀継承者の決定
祭祀承継者は、①被相続人による指定(口頭や遺言など)、②地域の慣習、③家庭裁判所の順により決定します。
なお、相続放棄をしても、祭祀財産を承継することも可能です。
回収見込みが疑われる債権
回収見込みが疑われる貸付金等の債権を相続財産から除外できるのでしょうか。
相続財産から除外できない
回収の見込みが疑われる債権であっても、相続開始前に債権放棄等がおこなわれていない限り貸付金額で評価し相続財産に含めます。
貸付金等の債権金額は、元本の価額と経過利息の合計額で評価します。
除外するには
ただし、その債権金額の全部又は一部につき、「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」は、回収不能部分を元本の価額から減額することができます。
回収が不可能又は著しく困難であると見込まれると判断し価額を減額するには、会社更生法手続きの開始の決定や破産といった事実があることが要件になっています。
例えば、同族会社への貸付金について、同族会社が債務超過となっており実質的に貸付金債権が回収できない状況になっていたとしても、直ちに会社が破たんするわけではないので、安易に貸付金債権が回収不能であるとはいえません。
【回収見込みが疑われる債権の評価】
誤り | 正しい | |
---|---|---|
回収可能性が |
回収できない可能性が高い場合には減額できる | 会社更生法適用や破産の事実などがある場合にのみ減額できる |
損害賠償請求権
被相続人が交通事故等で死亡し加害者から損害賠償金を受けたときは、被相続人が死亡したことに対して支払われる損害賠償金は相続税の対象とはなりません。
この損害賠償金は、遺族の所得となりますが、非課税となっています。所得税法には、心身に加えられた損害に基因して取得する損害賠償金又は突発的な事故により資産に加えられた損害は非課税との規定があるからです。
ただし、被相続人が損害賠償金を受け取ることが生存中に決まっていたが受領しないうちに死亡してした場合には、その損害賠償金を受け取る権利が相続財産となります。
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