胎児の相続権

胎児にも相続権がある

人は生まれた瞬間に権利能力を取得します。相続と遺贈に関しては「胎児は既に生まれたものとしてみなす」ため、胎児も相続権や遺贈を受けたりすることができます。ただし、死産の場合を除きます。

胎児の相続権

生きて生まれた時に権利能力を遡って認める

民法の「胎児は既に生まれたものとみなす」の解釈ですが、

①    既に胎児は出生以前に権利能力を持っている

②    胎児は権利能力を持っていないが、生きて生まれてきた時に胎児だった時に遡って権利があったことにする

の2つがありますが、②の考え方をとっています。

つまり、胎児の権利能力は生きて生まれてくることを停止条件として認めるため、出生前に胎児の代理人を設けて遺産分割協議を行うことは認められません。

ただし、相続税の課税実務では、次に述べるとおり異なった取り扱いをしています。

民法と相続税法で異なった考え方になる

民法は、遺産分割の期限を設けていません。このため法律上は、胎児が出生するまでは、遺産分割をおこなわず胎児が生まれるか死産かが確定し、相続人の範囲が確定した時に遺産分割をするという方法が複雑でないため望ましいと考えられます。

しかし、相続税法では、相続税の申告期限が設けられているため、相続税の課税実務では、次に説明するように、②の「生まれるまで胎児の権利能力を否定する」考え方に沿った取り扱いとなっています。

胎児がいる場合の相続税申告

胎児がいないものとした場合の相続人に申告納税義務がある

相続税法では、相続税の申告期限までに胎児が生まれていない場合には、いったんその胎児がいないものとした場合の相続人の相続分によって相続税の計算及び申告することになっています。

つまり、申告期限までに胎児が生まれていない場合には、

  • 胎児が生まれると相続人の地位を失うことになる被相続人の父母や兄弟姉妹
  • 胎児が生まれると相続財産の価額が基礎控除額以下となり相続税の申告義務がなくなる相続人

が、申告義務を負います。

申告期限の2ヶ月の延長も可能

例えば、胎児が生まれると相続財産の価額が基礎控除額以下となり相続税の申告義務がなくなる場合のように、胎児が生まれたことによって相続又は遺贈により財産を取得したすべての者が相続税の申告書を提出する義務がなくなる場合などには、胎児以外の相続人が税務署長に申請することで、申告書の提出期限をその胎児の生まれる日後2ヶ月以内で延長することができます。

出生したら法定代理人が10ヶ月以内の申告

胎児が生きて生まれた場合には、法定代理人がその胎児の生まれたことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。

またその際に、生まれた者に未成年者控除(200万円)することを忘れずにしましょう。

胎児の出生によって相続権がなくなる者は4ヶ月内の更正請求

胎児の出生によって相続権がなくなる者は、相続税の申告期限までにおこなった相続税の申告について、胎児の出生の事実を知った日の翌日から4ヶ月以内に「法定相続人等に異動が生じたことを理由」に更正の請求手続をすることができます。

遺言の効力発生時に胎児であること

なお、同時存在の原則から、遺言書作成した時に胎児である必要はなく、遺言の効力発生時、つまり、被相続人死亡の時に胎児であれば遺言は有効となります。

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