条件付遺贈

停止条件付遺贈と期限付遺贈がある

遺言者は遺贈をするにあたり、遺贈の効力の発生に条件や期限を付けることができます。

  停止条件付遺贈 期限付遺贈
遺贈の効力発生時 条件が成就したとき 期限が到来したとき
相続税の申告 未分割として申告

遺贈の効力を条件に関わらせる場合を「停止条件付遺贈」、期限にかからせる場合を「期限付遺贈」といいます。遺贈の効力が生じるまでは、受遺者は、遺贈義務者に対して履行請求することができません。

例えば、孫が大学に入学することを条件に遺贈するというような条件を付けると、入学するという条件が遺贈の効力を停止しているので、停止条件付遺贈となり、孫が20歳の誕生日に遺贈するという条件を付けると期限付遺贈となります。

効力が発生する前は未分割財産として申告する

条件が成就又は期限が到来する前に相続税申告期限が到来する場合には、その遺贈の目的となっている財産は未分割財産として、法定相続分によって取得したとして申告します。

条件が成就したら更正の請求をする

その後、条件が成就した時又は期限が到来した時に遺贈の効力が発生し、相続人が有していた遺贈の目的物が受遺者に帰属します。

条件の成就により相続税が減少する相続人は、条件の成就を知った日の翌日から4ヶ月以内に限り、更正の請求ができます。

また、受遺者は、遺贈の目的となった財産を取得することになりますが、これにより新たに申告義務が生じる者は期限後申告を、納付すべき相続税が増える者は修正申告をおこないます。正当な事由による期限後申告及び修正申告に該当するため、加算税や延滞税は課税されません。

負担付遺贈

受遺者に対して一定の負担を負わせる遺贈

負担付遺贈とは、受遺者に対して一定の負担を負わせるものをいいます。例えば、「マンションをAに遺贈する。ただし、Aはローンの債務を引き継ぐこと。」などの場合です。負担させる義務は遺贈される対象とは関係がなくてもかまいません。

受遺者は、遺贈の目的となった財産の価額の範囲内で、負担した義務の履行責任を負います。受遺者は、一括してこれを承認するか又は放棄することができますが、負担だけを拒否することはできません。

受遺者が負担を履行しない場合、相続人は受遺者に対して相当の期間を定めて負担の履行を求めることができ、それでも期間内に履行されない場合には、家庭裁判所に負担付遺贈の取り消しを請求することができます。

負担によって利益を得る人も相続税の課税対象

負担付遺贈によって、その負担によって第三者に利益をもたらす場合には、その第三者が負担額に相当する金額を遺贈によって取得したものとして、相続税の課税対象となります。例えば、「マンションをAに遺贈するが、条件として、AはBに対して○○円を支払うこと」とした遺言の場合です。

負担付遺贈財産の課税価額の計算

負担付遺贈により取得した財産の価額は、負担がないものとした場合における当該財産の価額から当該負担額(当該遺贈があったときに確実と認められる金額に限る)を控除した価額によるものとなっています。

なお、負担付遺贈以外は、相続人又は包括受遺者でない限り債務控除できないことになっています。

遺贈の目的となる財産の価額は、財産評価基本通達により評価した額のことで、その負担が金銭の等の資産を給付することである場合は、その負担額は遺贈があった時(相続開始時)において確実と認められる金額、債務の弁済など債務の減少をもたらす場合にはその減少する債務の額をいいます。(負担付贈与により取得した土地等及び家屋の価額は、取得時の通常の取引価額である時価評価となっているので注意しましょう。その他にも、債務の弁済を条件に財産を贈与する場合、贈与した者に譲渡があったものとみなして、所得税法において譲渡所得が課税されます。)

なお、負担付遺贈に基づく負担の利益が受益者に帰属する場合は、その受益者が負担額に相当する金額を遺贈によって取得したものとして相続税が課税されます。

さらに、譲渡所得税が課税される場合がある

負担付遺贈が特定遺贈の場合には、譲渡所得税が課税されます。

負担付贈与における負担部分が、遺贈者及び相続人に対して何らかの経済的利益をもたらす場合には、その負担に相当する経済的利益を収入金額とする「資産の譲渡」に該当するからです。

例えば、時価1000の土地建物を遺贈するが、負債600の負担が条件となっている負担付遺贈の場合で、土地建物の取得価額が500である場合。500のものを600で譲渡することになるため、100の譲渡所得が発生します。遺贈者に対する譲渡所得であるため、準確定申告が必要となります。

また、相続税評価額800から負担額600を控除した200に相続税が課税されます。

対価を伴わない単純な個人に対する遺贈では、遺贈財産すべてについて相続税が課税され、受遺者は遺贈者の取得時期と取得価額を引き継ぎます。

これに対して、負担付遺贈は、原則として受遺者は支払った対価で当該資産を取得したことになるため、実際に支払った金額が当該資産の取得価額となります。

ただし、譲渡価額(負担付遺贈の負担額)が時価の2分の1未満であり、かつ、遺贈者の取得価額を下回る場合(譲渡損失が計上される場合)は、遺贈者の譲渡損失はなかったものとみなし、遺贈者の取得時期と取得価額は受遺者に引き継がれます。

負担付贈与との違い

これに対し、負担付贈与の場合は、贈与税の負担回避の手段として利用されることを防止するため、土地家屋の負担付贈与については、財産の評価額を相続税評価額ではなく、その取引時の通常の取引価額に相当する額である時価で評価します。

例えば、土地建物を、相続税評価額で評価することを認めると、相続税評価額と同額の銀行ローンの引き受けを条件にして贈与することで、贈与税の課税は、評価額から引き受け債務を控除することから贈与税が課税されないということになってしまうのです。

単純贈与の場合は、贈与者に所得税が課税されることはありません。個人間の贈与については、みなし譲渡課税はおこなわないからです。しかし、負担付贈与の場合は例外となっています。

【土地家屋の財産評価:贈与と遺贈の取り扱いの違い】

  負担付贈与 負担付遺贈
土地家屋の財産評価額 通常の取引価額(時価) 相続税評価額

 


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