遺言(いごん、ゆいごん)

概要

相続発生後に遺言書を発見した場合、遺言書が封筒に封印され封に押印のあるものは、すぐに開封してはいけません。家庭裁判所での開封と検認という手続きを踏む必要があるためです。遺言書の検認は、遺言書の原状を証明するための手続きであり、遺言書の内容が有効かどうかを決める手続きではありません。そのため、偽造や変造の余地のない公正証書による遺言は検認手続きの必要がありません。あやまって勝手に開封してしまっても、遺言書が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料などに処せられるので注意しましょう。

【遺言書があった場合の手続き】

遺言とは

遺言(ゆいごん、いごん)によって、被相続人には、自分の選んだ者に財産を帰属させる自由が認められています。ただし、一定の相続人に、被相続人の意思によっても奪えない相続分である遺留分が認められています。

遺言者の死亡時から効力が発生する

遺言は、相手方のない単独行為として遺言者の死亡の時から効力が発生します。

受遺者は自由に決められる

遺言をした者を遺言者、遺言により財産を取得する者を受遺者といいます。遺言者は、受遺者を自由に決めることができ、相続人ではない者や自然人ではなく法人でも受遺者とすることができます。

一定の方式に従う必要がある

民法は、被相続人の死亡後に効力が生じる遺言を確実に実現させるため、厳格な方式を定めています。これを要式行為といいます。この民法が定める一定の方式や手続に従っていない遺言は、法的に無効となります。

遺言できることが限定されている

遺言書に記載された内容には、法的な効力がある「法定遺言事項」と法的な効力がない「付言事項」があります。

法定遺言事項には、相続に関すること、財産の処分に関することなどあります。

付言事項には、相続分を決めた理由や経緯などの被相続人の思いなどを記載することができ、思いを相続人に伝えることで相続時の余計な争いを防げることができます。

【遺言の法定遺言事項】

項目 内容
相続に関すること
  • 法定相続分と異なる相続分の指定
  • 相続人ごとに相続させる財産の特定
  •  遺産分割の一定期間の禁止(最長5年)
  •  生前贈与、遺贈の持戻しの免除
  •  遺留分減殺方法の指定
  •  相続人間の担保責任の指定
  •  遺言執行者の指定
  •  相続人の廃除とその取り消し
財産の処分に関すること
  •  第三者への遺贈や寄付
  • 財産の保全、または収益の有効活用のための信託設定
身分に関すること
  • 子の認知
  • 未成年後見人、または後見監督人の指定
  • 祭祀承継者の指定

作成した時に遺言能力がないと無効

遺言をするには、遺言の内容を理解し、遺言の結果を正しく理解するに足りる意思能力を備えている必要があります。民法ではその基準を満15歳としています。15歳未満又は意思能力がない者の遺言は無効となります。

生年月日や年齢がわからない、簡単な計算ができない、日付が言えないなどの状況がある場合には、遺言能力の有無について注意が必要です。

例えば、認知症や死亡の時期が迫っている者による遺言は、意思能力がない者による遺言であると判断される余地があります。

認知症の場合

遺言書を残した時に被相続人が認知症であった場合には、遺言能力があったかどうかが問題となります。この認知症にも軽重があり、直ちに遺言能力がないとこにはなりません。

次の事項を検討し総合的に判断します。

  • 診療記録、看護記録等の客観的な資料
  • 介護認定に関する資料
  • 遺言書の作成経緯
  • 遺言当時の本人の言動
  • 遺言の内容等

遺言の撤回は定めれれた方式でおこなう

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、遺言の全部又は一部を撤回することができます。

撤回は、自筆証書遺言や公正証書遺言など民法が定めた遺言の方式で行う必要があります。ただし、撤回する遺言と同じ方法で新たな遺言をすることまで求められていません。公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回する、又その逆のパターンで撤回しても問題ありません。

遺言が2通以上出てきた場合

遺言者は、一度書いた遺言を、何度でも撤回や書き換えることができます。

新しい日付の遺言が有効

複数の遺言が見つかった場合、公正証書遺言又は自筆証書遺言のどちらでも、形式や内容に不備がなければ、新しい日付の遺言が有効になります。

内容に矛盾がなければ古い遺言も有効となる

新しい日付の遺言に、古い日付の遺言と異なることが記載されていると、その部分については新たらしい遺言の内容が有効になります。また、新しい遺言に記載されておらず古い遺言のみに記載してある場合には、古い遺言が有効になります。

例えば、古い遺言で「妻に預貯金を相続させる」と記載があり、新しい遺言で「長男に土地建物を相続させる」とある場合には、どちらも有効となります。

このため、複数の遺言が発見された場合には、相互に抵触する部分があるかどうかの検討が重要となります。

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